幼少期からのプログラミング教育 – 親が子へ機器を与えることの大切さ
今回は以前、ご紹介した松田さんの友人で、PCN創設メンバーの一人(下記リンク参照)で「一日一創」をモットーに毎日プログラミングされている、IchigoJam(イチゴジャム)の生みの親、福野泰介さんをご紹介したい。
福野さんがどのようにしてプログラミングに興味を持ったのか、これからのプログラミング教育をどうやっていくのかのヒントが隠されているのではないか。筆者はプログラミングサミットに2回ほど登壇させていただいた関係もあり、今回インタビューをさせていただいた。
福野さんは子どもの頃、ファミコン大好き少年だったそうだ。ただゲームをするだけでなく自分で作ろうと思ったところがすごい。母親は「ゲームは1時間まで」という教育方針だったため、1時間すると、後は外に遊びに行っていたと言う。
この時代のゲームには、例えばスーパーマリオブラザーズなどがあった。しかし、ただゲームで遊ぶだけではなかったという。小学校3年生の時に、ファミリーベーシック(ファミコンゲームを作れる周辺機器)に出会い、母親が新しいもの好きの性格もあって、MSXを買ってくれたのだ。その取扱い説明書を見ながらなんとかやってみたのだという。
あとは、その関連本を読みながら、ポチポチとプログラムを打っていた。本は主に図書館にあり、入門本を借りてきて打ち込んで遊んだそうだ。その後、本屋に売っていたMSXの雑誌を購入し、小5までやっていてだんだんプログラミングが面白くなってきたという。小5から中3の頭まで、買ってもらったMSX2+に夢中だったそうだ。
福野さんは中3の時に転校したが、転校先の学校は中2で修学旅行が終わってしまい、行くことができなかった。そこで親に交渉し、修学旅行の旅費でMSXturboRを買ってもらったのだそう。
その費用も母親が出してくれたという。
自分でプログラムを打ち込み、面白くなるように改造して遊んでいるうちにBASICを0から作ることができるようになった。速度を求めてアセンブラを使い、細々と書くのはめんどくさいからと、中3の頃にはC言語を使うようになった。その後福井高専に入って、学校にあるパソコン(PC98)のC言語コンパイラの圧倒的速さに衝撃を受けたそうだ。
そうこうするうちに、会社を作ったらと周りから言われ、福井大学ベンチャー有限会社シャフトの唯一の非大学生の創業メンバーに。その後、1人で会社を興して研究開発をしつつ、今に至るという。
福野さんは「子どもたちに喜んでもらうのが一番。子どもたちには、世の中にインパクトを与えるような存在になってほしいと思う。たくさんの人に使われるような社会的影響力のある技術を持ち、自分の力で世の中を変えていける子どもたちが増えてほしい。また、今後は各地の高専でも自立した強い人材育成をサポートしたい。高専に向いている小中学生が憧れる、プログラミング好き、ものづくり好き高専生をメンタリングしたい。プログラミングは、好きでたくさんやっているとうまくなると思う。実際、自分よりすごい子どももいるんですよ。」という。
今後は、1時間半でIoTとプログラミングを基礎から学べるカリキュラムを標準化するなど、高専やPCNつながりで全世界に活動範囲を増やしていきたいという。そして3,000円で自分だけのパソコンを始められるIchigoJam(イチゴジャム)をそのはじめの一歩として活用していきたい、と言っていた。
高専の職員がIchigoDyhookでプログラミング
[2020年2月20日長岡工業高等専門学校にて]
好きなことに没頭してきた福野さん。その機器は理解のある母親が買ってくれたものだった。ビル・ゲイツ氏の母親がPTA活動でPCを学校に入れたことは有名な話だが、やはり興味のある子どもに躊躇せず、機器を買って与え、ただゲームをするのではなく創りだすことに興味を持たせた親心が福野さんの活動の一部に生かされているように感じた。
福野泰介さんと筆者
IchigoJam(イチゴジャム)は、シンプルにプログラミングだけができ、自分で組み立てることもできる国産パソコン。660円で買えるキーボードと、microUSBの電源、ご家庭のテレビにつなぐビデオケーブルを揃えれば、自分だけのプログラミングできるパソコンのできあがり!総額3,000円で揃います。
プログラミング言語は、入門用言語として定評あるBASIC。ネットに頼ること無く、印刷して楽しめるIchigoJamプリントや、書籍、雑誌など、自分のペースで学ぶことができるのが特徴です。
https://ichigojam.net/
IchigoDyhook(イチゴダイフク)は、パソコン周辺機器の老舗アイ・オー・データ機器製のIchigoJam(IchigoDake)用周辺機器をぎゅっと集約した、学校向け決定版ともいうべきプログラミングキットです。
単三電池かモバイルバッテリーでも動作でき、ネットも必要なく、限られた授業時間内で、インパクトあるコンピューターサイエンスとしてのプログラミングを体験できる機材に仕上がりました!
(スライド教材はオープンデータ、自由に改変・再利用いただけます「はじめてのプログラミング with IchigoJam (IchigoDyhook) – 神山町イベント」)
https://pcn.club/sp/dyhook/