教育連載コラム―未来への戦略-

プログラミング教育を変える!ITベンチャーの挑戦【前編】~子どもにものづくりの楽しさを、先生にサポートを~

本コラムでは、プログラミング教材が色々ある中での様々な事例を紹介していきたい。先生方にはもちろんのこと、来年、進学する保護者の皆様にもお伝えしたい。
まず気になっていたのが、中学生・高校生向け IT・プログラミング教育サービス「Life is Tech!」を運営するライフイズテック株式会社。本日はこちらへ訪問した。

ライフイズテック株式会社代表の水野さんと筆者とはご縁があり、一緒に講演で登壇したり、東京大学で行ったキャンプの様子を見せてもらったりしたという経緯がある。当社はIT企業が立ち上げた企業ではなく、もともと教師をしていた水野さんが子どもたちに関わっているというのも魅力的な企業だ。
水野さんは
「日本の教育について良いところももちろんあると思うのですが、もっと進化できるのではないだろうか、もっと環境を用意してやれば伸びるのではないだろうかという思いがありました。暗記中心の学習方法に始まり、諸々、もっと環境を整えたり学習方法を変えたりすれば、子どもたちはどんどんやれるんじゃないか、という思いから会社を立ち上げました。」

会社の立ち上げは2010年。日本のプログラミング教育のために立ち上げたというが、時期という点においては老舗と言えるかもしれない。現在、延べ4万人、世界で2番目の規模になっており、現在は1万人くらいが習いにきているそう。常時、スクールにも約750人が通っているという。
水野さんは言う。
「このスクールでアプリが200個ほど作られています。100時間以上の指導者研修を経た大学生が中学生に教える仕組みとなっていて、500人程度います。200人くらい応募がある中から選抜をして、それから100時間の研修をさせています。リーダーシップの育成プログラム(=リーダーズ)です。
今応募している大学生も、昔は中学校で学んだ学生です。技術の継承に加えファシリテーションなど、5日間で成功体験に結びつけないとなりません。チームリーダーになるための研修で受かった子だけが、子どもたちに教えることができるのです。
大学生を育成し中高生に教える仕組みを作り、自治体と連携して40の自治体向けに展開することで、地方の子も親の年収に関わらず学習できるようにしています。企業と連携して最先端のコンテンツを使うこともあります。VRなどもありますよ。
さらに拡げて、先生向けのキャンプも行いました。前回は30人の先生が参加し、中高生が学んでいる隣で、中高生の学びも見ながらという方式で実施しました。」

水野さんはガーナの大統領にも会ったそう。教育は100年の計というが、ICT教育に力を入れるガーナはこれから先を見越しているようだ。
水野さんは、Pythonとスクラッチの間の言語、いわゆる「ネクストスクラッチ」によって、プログラミングでものを作る楽しさを学べる教材を充実させたいという。

「まずはオンラインで学べる環境を作りたいです。最近ではアメリカのロサンジェルスに会社を作りました。あとはグローバルにキャンプを実施することを考えています。実際、オックスフォードでキャンプを行っています。
今やりたいのはオンラインとリアルの両方。僕は教育を変えて、子どもたちが全員、わかりあい、自分の得意なところもわかって一緒に勉強しあうということを実現したいのです。
いつか学校を作りたいですね、そこで先生の研修をもっとやりたいです。どんな時期にどんなタイミングでやれるのかを知りたいですし、子どものニーズと能力と目標にあったものが必要だと思います。先生方の働き方を変えたいし、それはやはりテクノロジーを中心にして変えていきたいです。」
素敵な未来を描いている水野さん。今までも25億円の資金調達をしてMozerのシステムを作っている。次回は教材をどのようなコンセプトで作られたのかも含め紹介していく。