教育連載コラム―未来への戦略-

時代が求める幼少期からのサイバーセキュリティ教育 ― イギリスの名門校のIoT事情 

筆者はIoTの進化をみるために最先端の研究を行うイギリスの名門、ウォーリック大学に潜入、カールストン教授[1] にインタビューを行った。この大学はダイソンが授業料を出すことで話題となったダイソン インスティチュート オブ エンジニアリング アンド テクノロジーと提携している[2]。
カールストン教授はウォーリック大学のコンピュータ学部長であり、様々な大学のコンピュータ学部長が集う学会組織の会長でもある。

ちなみにこのウォーリック大学は大学世界ランキング54位[3] ととても高い。社会に出て働き、技術の進化に驚いてここに入学してきた学生が85~90%もいる。これまでの勉強では立ち行かないという思いに駆られて、最先端のテクノロジーの学ぶために入学したのだという。

半数が外国人の学部もあり、海外から来た学生たちには1年から2年の職業体験がある珍しい制度がある。そんな説明を受けながら、教授の研究室の下に降りて、ドアを開けるとすごい光景が目に飛び込んできた。

まるで体育館のような車の研究開発現場。この場所で学生たちは企業と共同研究をする。特に自動運転の研究をメインに行っているという。

カールストン教授によれば、IoTは既に技術開発のフェイズからセキュリティ対策へと移行しているという。また、ダボス会議でも話題になったように、今、サイバーセキュリティセンターでは倫理がコンピュータサイエンスの一部になっているという。

大学のあるコベントリーの周りには、イギリスの自動車会社のローバーがある。日本のホンダが引き上げるということで話題となったイギリスではかなりの危機感を持ってるようで、ナショナルオートモービルイノベーションセンターは9000ポンドの資金を提供しているそうだ。

子どもは4歳くらいから、道を渡る時には右を見て、左を見て渡るように教わるが、それと同じようにサイバーセキュリティに関しても4歳くらいから学ばなければならない。そして、8歳になったなら、楽しい活動を通してサイバーセキュリティについて勉強しなければならない。」と述べていた。

ネットに繋がるモバイル端末はタッチするだけで様々なものを駆動できるものとなっている。今や、モバイル教育はIoTを理解することだけでなく、子どもであってもサイバーセキュリティの概念が重要となってきたことをまざまざと見せつけられた。