教育連載コラム―未来への戦略-

次世代を切り拓くモバイル教育 ― エストニアの事例から ―

IoTの端末開発が進み、モバイルの概念も変化する中、最先端のテクノロジーを使ったモバイル教育が行われるようになってきました。今や、VRやARを使った授業も行われています。
20年も前から筆者は、将来、タブレット端末や携帯を使って授業が行われるようになるのではないかと思っていました。その予感通り、現在、自分のモバイル端末を好きなだけ学校に持って行き、授業で使うというBYOD(※1) が行われる国も出てきました。
ちなみに小学校からのBYODが国策として行われている国もあります。
先日はたまたま、エストニアのFlorian Marcus(※2) 氏の話を伺う機会がありました。エストニアの小学校では一年生のスマートフォン普及率が90%の教室もあり、机上にスマートフォンが置かれていたり、国語の授業はパソコン教室で行ったりしています。
筆者が2年連続で訪問した小学校では、全ての授業で日本のマイナンバーのような長いID番号を端末に入力し、ログインしてから授業をしている様子をみることができました。

エストニアは電子政府に切り替えたことで、ほとんどの公的な手続きはネット上で行われるようになりました。紙を使った非効率な作業が減ったことで人件費が大幅に削減されました。情報が全て紐づいているため、例えば人身事故などで救急車が現場にたどり着く前にその人のID番号さえわかれば、到着後直ちに治療にも入ることができます。
このようなことを経験するともう後戻りができないそうで、市民がインターネットを使うことは大きなメリットになっています。
この背景には、小学校1年生から全ての子どもたちにPCを持たせ、あらゆる教科でPCを使い、プログラミング教育を行っているということがあります。「一番大事なのは子どもの頃からインターネットやPCを使いこなすことの積み重ね。これによって今後のIT政府が構築される」という言葉が印象的でした。

今回はエストニアの事例を少しお話しましたが、筆者がこれまで、教育の最前線を世界各国で調査研究してきた経験をもとに、モバイルに特化した国内外の教育について次世代を切り拓くべく、レポートしていきたいと思います。